北極の机
リーフレイン

北極の机で白熊の母が経理伝票をつくっているとき
広い机の端ではトルコ美人がベリーダンスを踊っていた
それをかぶりつきでみていたのはペンギンの群れで
白黒の頬をうっすら紅に染める
すかさず流れる 「踊り子さんに手を触れないでください」
いつのまにか机はまな板に
そのまな板の上にあがったのは恋のカゲロウ
包丁を持った天狗のお面 フラッシュがたかれまくった
「ああ、お姑さん どうか覗かないでください」

北極の机で白熊の母が鮭を料理しているとき
広い机の端では白アリが行列を作っていた
延々と運ぶクッキーの欠片ごと
南米の大アリクイが口を差し伸ばして食べる食べる延々と
「つまみ食いはご法度だよ」
いつのまにかアリの列は鉄道模型に
「主人の鉄道模型を処分してしまったら主人がおかしくなってしまったんです」
鉄道模型に乗って、泣きながら廻る廻る若嫁がまわる
まわってまわって北極の机を溶かしてしまうまで

「ああ、ご主人 どうか彼女にお許しを」
悔恨の涙で北極の机が溶けてなくなってしまう前に


自由詩 北極の机 Copyright リーフレイン 2009-10-13 06:28:13
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