ハンバーガーでも喰いながら
虹村 凌

昔から芸術の展示品に触れない理由がわからなかった
作った本人ですら価値を見いだせるのかわからないそれは
興味の無い人間からすればただのゴミでしかないのに
偉そうに台座に座って手の届かない場所にいるそいつ等が
昔から本当に気に喰わなかった
出来ることなら齧ったり叩いたり
バットで粉々にしてやりたいと思っていた

茶渋がへばりついたマグカップにミルクを注いで
一気に飲み干して今日もそんな事は忘れてしまおうと思った

別に斜に構えてる訳じゃないと思うんだけれど
どうやらそう思われても仕方が無い人間らしい
よく言われるよ変だって
見下して笑ってお前等が安心出来るなら
思う存分そうすればいいさ
俺の中で虫は何時も復讐を叫んでいるけどね

茶渋とミルクが乾いたマグカップに
インスタントコーヒーを注いで今朝の事を思い出しながら
灰皿の中で一番長いのを選んで火を付ける

何処か遠くに行きたい気もするけど
帰ってくるのも面倒だと思っているうちに
免許がどんどん薄くなって紙になった

別にポリシーなんて無いんだ
柔軟な訳でも無いと思うよ
俺は卑怯で狡いだけの人間だから
不器用じゃないけど雑だしさ
一人じゃ生きて行ける自信なんざ無いんだ

誰かに甘えたい気もするけど
甘えられるのは俺に余裕が無いと無理だって考えると
相手に迷惑かもなって思って
いつも声をかけられないでいる

フライパンの上で一昨日の鶏肉が冷え固まって
ネギや醤油と一緒に黒くなっている
暖めなおしたら喰えるよな
あー
ラーメン喰いたいな

何だよ
何もオリジナルとか何だとか
難しい話がしたいんじゃないんだ
もっと簡単で単純な話を
そうだ
未来の事とかそういう話がしたいんだ
別に生きる上での戦略とかじゃなくて
この暗闇の中で何が出てくるか
ワクワクしながら話そうって言うだけ

酒は飲まないからコーラでいいよ
ハンバーガーでも喰いながら
未来の話をしようぜ
ハンバーガーでも喰いながらさ


自由詩 ハンバーガーでも喰いながら Copyright 虹村 凌 2009-10-11 17:45:15
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