渡良瀬橋 |夏至の空色
都志雄

足利の旧市街から渡良瀬橋を渡り少し行くと、草木のこんもり茂った小高い丘がある。男浅間神社だ。頂へと続く道を上っていくと、やがて視界が開け、渡良瀬川沿いに足利の街並みが一望できる。ハローワークから所在なく歩いて来、もう午後6時を大分過ぎているはずだが、一向に暗くなる気配がない。
今日は夏至だったのだ。


薄鈍うすにび色の曇天に
薄墨色の雲ちぎれ
銀鼠ぎんねず色の川面かわづら
薄墨色の雲うつる

薄鈍色の曇天の
ひっかき傷は浅紫あさむらさき
薄日洩れ来て
白磁なり

薄鈍色の曇天に
薄藍色のレエス垂れ
人恋しき色のたそがれに
群青色に雲染まる

薄藍色の空の下
渡良瀬橋に灯はともる
濡れ羽色の橋の下
川は黙って雨受ける

紫黒しこくとばりに街ともり
胸の内には何ともす
橋のたもとの街灯に
雨に煙りし萌黄照り
雨だれの色は
何色か

雨だれの色
我は知らず

また来る夏色
我は知らず





自由詩 渡良瀬橋 |夏至の空色 Copyright 都志雄 2009-10-08 18:35:15縦
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