グラウンド・ゼロ
窪ワタル

汗臭いほんとうのことにはもう付いて行けず
けれど 瑞々しい嘘をよけながら
照れ笑いで誰かと話すのが好きだ

政治とか宗教とか戦争とか
どうだっていいことじゃないからつまらないんだ たぶん

俺は日本人
似合わないコーラを飲みながら
うまいとほんとうにおもえたことなんかない

ブシュだってきっと
神様なんか信じていないんだから俺と同じさ
大統領なんかじゃなけりゃ意外といい奴かもしれないじゃないか 
なんてあり得ない空想だって別に罪じゃない

俺は日本人
愛国心も日の丸も君が代も
俺は大嫌いだけど好きだって人達と友達にはなれるよ きっと

俺は日本人
51番目の星になんかなりたいとはおもわないけれど
ときどき LOVE&PEACEとか云ってみたりする

俺は日本人
戦争を知らない子どもたちなんて云ってほしくない
俺らは戦場を知らないだけ

俺は日本人
グラウンド・ゼロ なんて手垢にまみれた小銭の臭いがする

神風にのった2004年のエノラ・ゲイは
おかあさぁーん!!ていわないんだろうか?
いずれにしろ すべてはテレビの中

空はずっと延びている
地平線を俺は知らないけれど
たとえば俺の
視線の越えて行く先が
ずっと記号だけになっていたら
もう 誰とも 君とさえもキスしなかったとしても
どうにか立っていられるとおもう
このゼロに向かって行く線の上の
平和な って
体温から とおいとおいまちで



自由詩 グラウンド・ゼロ Copyright 窪ワタル 2004-09-13 22:46:31
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