秋の午前が青かった
吉岡ペペロ
秋のひかりが青く透けている
夜の名残か虫の音がしている
どこか遠くで冷やされた風が
くすぐるように頬をかすめた
日曜の朝は自室に引きこもる
朝刊は長ぐそで読んでしまったから
買っていた何冊かの自己啓発本を
なんとなくペンを片手にくっている
こころに食いついて来なかった
いつのまに水槽のほうを見つめていた
ちいさなお魚さんたちの
絶え間ないデジタルな動き
それを目で追うのは無理だった
そんなことに癒された
水槽に押し込められてはいるけれど
ちいさなお魚さんたちが
私を押し込めているのかも知れない
宇宙サイズで考えたら
ちいさなお魚さんたちも
ガラス一枚をはさんで私も
おなじもののように思えるのだった
秋のひかりが青く透けている
夜の名残か虫の音がしている
どこか遠くで冷やされた風が
くすぐるように頬をかすめた