ブランコ
たもつ

 
 
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる

その帰り、公園に立ち寄る
周りに誰もいないことを確認して
昔見た映画みたいにブランコに座る
夜になっても
ブランコもジャングルジムも滑り台も
公園の管理者はどこにもしまわない
こうやって必要としている人がいると
知っているからかもしれない
人はたぶん
僕が思っている以上に優しい

生まれてから四十年以上が過ぎた
僕が生まれた頃を知っている人は
大抵が老い
老いたまま逝き
老いることなく逝った

父の頭を撫でるようになるなんて
思ってもみなかった
一度も漕ぐことなくブランコを降りる
漕いでしまえば
楽しかったことばかり
思い出すにちがいないから
 
 


自由詩 ブランコ Copyright たもつ 2009-09-26 19:35:03
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