気付かされたひと
恋月 ぴの

あのね

とりあえず声に出してみた
答えなんかでた訳じゃ無いし
そんなものはなから無かったりする

えっとさぁ

次のことば続かなくて
それでも携帯の画面へ逃げ込むのだけはぐっと堪えた

うん。わたしにしては上出来だね

それでも、あなたと目を合わせられなくて
ウジウジしている
そんな自分がだいっきらいで
「わたし何やってんのだろう」って思ってしまう

それを物憂い季節のせいにしてみたり
それともきちんと刈り上げた襟足の男らしさに惚れたのだとか

あなたってこおもりみたいな耳してる

あのね

無理に可愛らしさ演出しているみたいだし
やっぱ
自己嫌悪に陥ってしまう

急に涼しく…

ふたりして何か言わなくちゃと無理したのか
そんなことばハモってしまい
思わず笑い転げたテーブルのコーヒーカップたぷんと揺れ

あれっ。人生ってこんなにも船酔いするんだ





自由詩 気付かされたひと Copyright 恋月 ぴの 2009-09-22 22:57:59縦
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