癖、焼いてまた、
みい

9月11日
学校帰りの地下鉄はいつも
ぎゅうぎゅうでみんな疲れてて きらいだ
でもそれが今日は少しやわらかな
そう、土曜日
休日の人もいるのだ
休日の人も



真実子ちゃん
こないだもオシッコをしたのね
人気のある道のまんなかで
伯母さんが泣いていたよ
またおばあちゃんに死ねなんて言って

真実子ちゃん

あなたはやさしい人だ
わたしには
いつも


ものごころついたときから
どこからともなく
わたしに差し出していた
その花を
ありがとう、と言って受け取るのが
もう何十回目になって
わかった
秋、だった

コスモスをくれたあと
あなたは
まるで死人を見ているように
わたしを見て
少し
遠いわ

仏壇のように
パン、と手を叩き 拝まれて
それからやっぱりわたしは
ありがとう、と言った


真実子ちゃん
あなたは にこり としている

伯母さんがまた泣くのを見ながら
隣の家の人に怒鳴りつけながら
真っ裸で家のすみずみを歩きながら
そのまま 外に出ようとしながら



人混みの車両で
缶ビールを飲んでいるおじさんは
顔を真っ赤にしながら
電車がゆらりとするたんび
気持ちよさそうで


でも
あなたの方が、きれいだ
真っ裸で缶ビールに
口をつけて
きゅい、と一気に飲んで

ゴクン、

一瞬で食道をかけぬけ振動するお腹は
真実 だ
見逃したくないほどの
光だ



花は
受け取るたんびに焼いた
わたしはそこでもまた死人になって
あなたは知らずにまた、
花を探しに行く



真実子ちゃん
あなたはたまに殴るね
そのお腹を、唐突に










自由詩 癖、焼いてまた、 Copyright みい 2004-09-12 02:30:17
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