ロク
あおば

                090915



5のつぎは6
指が足りない
いっぽんかしてくださいねと
お祖父さん
お墓の中で指を折る
ガラガラと
意志が崩れて
明日は休む
休むと電話をしてくださいねと
声が出ないので
紙に書く
書かれた文字を電話口で読む
奥様の声が
会社の同僚の耳をくすぐる
ガラガラと石が崩れて
砂利となる
砂利を砕いて砂にして
セメントを混ぜて
三和土の上面に
上塗りをしてから
防水シートを被せ
二日間養生すると
再び声が出てくるから
会社に行くことも出来ます
ろくでもないことを
考えていると
取引先から
電話
不良品が増えて
困っている
なんとかしてくださいと
遠慮がちの声が
退社間近な時間を縛る
明日では駄目ですかと
声にならない声を出してから
今日は遅くなるからと
家に電話する
これで気が晴れたでしょうと
碁敵が立ち上がり
三日月の色が一段とさえわたる
色がくすんでいた時代の名残に
ピストルを撃って
地面を血だらけにして
暗転
明日の朝は目を擦りながらの通勤電車
走るのが辛そう
遅刻間違いなしです!







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作




自由詩 ロク Copyright あおば 2009-09-15 02:14:54
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