「 除光駅。 」
PULL.







除光駅では星たちが手を繋ぎつぎの太陽がくるのを待っている。

惑星になった気分で飛び乗ってなのにここは居場所じゃない気分。

降りる勇気もないのにつぎの駅つぎの駅までと爪伸ばし。


除光液で剥がした夜はまっ暗で星もないから爪を立てて。

きみも剥がされてみればいいのさひかりなんて誰も直視できない。


ぐちゃぐちゃに塗りつぶして消してしまえばいい割れてしまった夜ならば。

星がまっすぐに落ちてくる視界を突き破って瞼を剥がして。


縫い付けた眼の奥からでも眩しい太陽の舌が落ちてくる朝。

時計の針で眼を突いてチクタクと落ちる涙で時を刻んで。

まっ暗な夜に爪を立ててあなたとぼくの星を描いたサヨナラ。


爪のあいだからこぼれる夜をかき集めこの最後のひと晩を。

そうしてホームの向こう端から星たちがかがやきさわぎはじめる。












           了。



短歌 「 除光駅。 」 Copyright PULL. 2009-08-18 02:17:28縦
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