デメキンと親父
チャオ

縁日で、金魚を取り過ぎたおじさんが、デメキンと、普通の金魚をくれた

縁日で、何もしてなかったのに、右手には、金魚が、2匹いた。

家に帰っても、水槽がないから、とりあえず、1.5リットルのペットボトルに入れた

次の日、起きたら、金魚は、死んでいた。

でも、デメキンは生きていた。

それから、デメキンに名前をつけた

デメキンだから、デメにした。

「ただいま、デメ!」というと、デメは泳いでいた。

言わなくても、泳いでいた。

ある日、この暑さのせいで、デメも、へたばっていた。

家族で、デメを見守ってた

親父は、デメにむかって

「金魚君、がんばれって!」って話しかけていた。

名前、デメだし・・・・・。

その横で、気がつかなかったように、テレビが流れていた。

母親は、「金魚ってのはね・・・・」って親父に話しかけてた。

母さん、デメキンだよ。まあ、金魚だろうけど。

山形の、田舎の、電車にも乗れない母さんが、なぜか、金魚には詳しいらしい

親父は「金魚君」といい続けてる。

名前、デメだし・・・・。

話しかけても、デメは気がつかない。

デメは、水の中で、動かないでいる

親父は、やっぱり、金魚君という

何で、君付けで呼ぶんだろう。

次の日、目が覚めたら、デメは死んでしまった。

親父は、何も言わずに、新聞を読んでいた。

「死んだね」というと、興味なさげに、「うん」と、うなずいた。

食卓には、焼いた、ししゃもが、あった


自由詩 デメキンと親父 Copyright チャオ 2004-09-09 02:26:38
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