西陽に背を向けてる訳じゃないんだ
虹村 凌

人生の最終目標は「ラプラスの悪魔」って訳じゃねぇし
知りたい事は多いけど全てを知りたいって訳でもねぇ
そんなチートコードみたいな力は欲しくねぇ
覚悟は必要でそれが幸福に繋がるとしてもだ

あー
今日はどうしようもなくお前が嫌いなんだ
そういう日ってあるだろう?
面倒臭いとか忙しいとか理由は色々だろうけどさ
やってられねぇから
今だけは放っておいてくれ
そんな気分になる時って
よくよくあるだろう?
もしかしたら
俺だけかも知れないけど

フラストレーションが溜まってくよ
今でももう十分だってのに
クソみてぇに行き詰った状況が
煮詰まった鍋みたいな頭ン中みたいに焦げ付いてきてるぜ

「血を見ない日なんて、太陽を見ない日みたいなもんだ」
と血まみれ米兵は言った
そういうもんかも知れないな
苛々しない日なんて無いからさ

連続した選択肢をこなして
今までの人生があるらしい
正解か不正解かもわからないままで
ずっとこうしてきてる事だけが確かなんだ
気が狂いそうにならないか?
ギラギラと輝くまぶしくて見えない太陽ですら
俺には嘘みたいに思えてくるんだ
まぶしくて見えないからかも知れない
とにかく
それが正解か不正解かわからないんだ
それこそラプラスの悪魔にでもならなきゃ
一生かかってもわかんねぇ事だろう
でも覚悟は出来てないよ
諦めと覚悟は違うだろう?
覚悟を持って選んだ選択肢は幸福に繋がるらしい
たとえ後悔してもな

そうカリカリすんなよ
たかが選択肢のゲームじゃねぇか

どの選択肢を取っても
結果はここにいる俺だと言う事か?
よォ平行世界の俺達
元気にやってるかい?
アローアロー聞こえているかい?
ああ
ここにいる俺は
一応元気にやってるぜ
色んな選択肢で逆を選んだ俺と
話をしてみたいなァなンて思うんだ
多分どの俺も説明が下手だろうから
会話滅茶苦茶なんだろうけどさ
別に並行世界を信じるとかじゃなくてさ
違う選択肢を選んだ俺ってのがいると思うと
ちょっとわくわくするじゃん

そうカリカリすんなよ
気楽にやんな
たかだかゲームじゃねぇか
なに
オカルトだって?
そう固い事言うなよ
たかが戯言じゃねぇか

幸運も勇気もねぇ
この手の中にあるのは絶望と倦怠と諦めと眠気だ
そいつらが描くマーブル模様の中に未来がある
太陽がそれを照らすかどうかは置いておこう
その太陽が本物かどうかも置いておこう
選択肢を乗り越える度に
俺は運命に逆らっているのか?
だから苦しいのか?
ろくでもない終わりに向かっているのか?

犠牲
犠牲
犠牲
今まで積み上げ築き上げたものは
何かを傷つけ犠牲にしてきた物の上にある
当然の事だ
生きるってのはそういうことだ
そうだろう?
だから今度
誰かが俺を傷つけその上に何かを築き上げても
文句は言えないんだ
そうだろう?
落ち着けよ
別にお前を傷つけて生きようってんじゃないんだ
だからもうちょっと聞いてくれよ
そうカリカリすんなって
珈琲おごってやるからさ

人生に何度ピークがあるのか知らないけど
一度目のピークはとっくに過ぎてるんだ
引き際を間違えてる事には気付いているよ
もうやってる事も言ってる事も滅茶苦茶で
それだけが何年も変わっていない
気付きたくない事実だったが
こうも突きつけられるとどうしようもない
笑うしかねぇよな
無様に試合をしようぜと叫ぶけど誰も見てねぇし
試合が始まったと思って手を出して挑発までして
気がつきゃただのシャドーボクシングだったりするんだ
勝ちもなけりゃ負けもねーのに
なぁ
喧嘩しようぜ
殴り合いのやつをさ
ガードなんかできゃしねぇけど
殴り合いの喧嘩しようぜ
だってさっきまで大切だったものが
今この瞬間にはもう意味をなさねぇなら
何かを守る必要なんか無ぇだろう?
笑いたきゃ笑えよ

例えば
どうにかしてお前の中に入っていけたら
世界は変わるのだろうかって考える事があるんだ
そう気持ち悪がるなよ
少しは俺が見えるのだろうか
俺は変わったのだろうか
そう考える事があるんだ
少しは変わったのかと思えば
「全然変わってないね」と言われるしさ
変わりたいのかもよくわかんねぇけど
停滞は趣味じゃないんだ
繰り返す
繰り返す
繰り返すけれど物事てのは変わっていく
諸行無常って言うだろ?
以前と同じだとは思わないし
マシかどうかも分からない
前より酷くなってるかも知れない
それでさえ構わないから
どうなってるのか知りたいんだ
誰かが大丈夫だよって言うけど
それは何か違う気がする
どう思う?
よくわかんねぇって?
そうだよな
俺もよくわかってねぇんだ
笑えるか?
そうか
ならいいんだ

手を出す
手を出す
手を出さなきゃ殺られる
防御なんか出来っこねぇけど
手を上げろ
上げろ
上げなきゃ
殺られる
磨り減ったブレーキは無いも同然で
何処をどう走っているのかもわからないくらいに
お前の目に反射された光で焼け付いているらしいぜ
今の俺
笑えよ
どうにかしてお前の中に入っていけたら
何か変わるのか
そう考える事がよくあるんだ


自由詩 西陽に背を向けてる訳じゃないんだ Copyright 虹村 凌 2009-08-15 22:49:14
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