ムササビとマタタビ
あおば

                   090729


からんとおちるおとのあとからあとから猫が踊るようについてくる
トーさんがカーさんと比較対象の動物をえり好みしている
皮を剥いでから鞣して毛皮のバッグを作るのだ
自転車の荷台には首を絞められた鶏が3羽
青大将が2匹
クロコダイルの子供が2匹
カーさんは動物を飼うのが得意で
餌の配合が旨い
安い餌を上手に混ぜている
カーさんはトーさんの食事の世話はしない
トーさんは自分で作っている
僕はたまにはカーさんの料理も食べたいのだが
カーさんは皮を剥ぐのが好きなようで
魚だって上手に捌くが
肉を刻んだり焼いたりが下手で
全部トーさんに任せている
ネーさんは受験勉強に忙しいと
塾に行っていると言いながら
映画を見たりライブを聴いたりして
夜遅くまで帰ってこない
夕食は適当に済ましていると
トーさんの料理には手を付けない
カーさんは
ネーさんに
いくらでもお小遣いを渡しているから
(ネーさんは)
元気で
痩せることもない

ムササビ座の座長はトーさんの幼なじみだ
ネーさんの顔を見ては
役者に向いていると
入団を勧める
トーさんはその気で
カーさんは役者修業に明け暮れたこともあり
ネーさんは役者に向いていないと言う
カーさんトーさんネーさんとムササビ座の座長が
居間に集まっている
猫はマタタビを囓り
僕はカップ麺を啜る
雲が出てきた
風が吹いてきた
雨が降ると思いながらも
猫じゃらしが繁茂する荒れ果てた庭の手入れは
どこの誰がするのかと考えている
猫はそこであいびきしたりして
荒れ果てた状態を楽しんでいるのが
少し憎いのだ





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を推敲、タイトルは、木屋 亞万さん。



自由詩 ムササビとマタタビ Copyright あおば 2009-07-29 10:06:09
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