まぼろしの通信
e.mei



此処までがわたしで
彼処からをあなたとすると
あなたは夢をみるだけ夢から離れると云うことになります
行進する群れの中から
あなたひとりだけが選ばれたと云うことなのでしょう
上へと還る雲たちは
何もいわないで
風に流されてしまって
永遠は無邪気に笑いながら最果てへと遊びにいってしまう


あなたは空よりも向こう
あなたはやがて星よりも遠くなってしまうのだとすれば
それは消えると云うことと何が違うのかを教えてください
朝のやってくる時間
あなたを離さないものは永遠を知らないものなのです
のびていくのは終わりを知っているものたちばかり
小さな火はより小さくなって
約束通り消えてしまう


「永遠は まぼろし」
「夢の続きのかくれんぼ」


わたしたちは始まりの朝から終わりに近づいていたのです
わたしは風に吹かれ
何処かへと飛んでいってしまえばいいと思っています


――あなたはそれすらも
やがてはきれいに消えてしまうと知っていたのですか――


あなたは 消えてしまう
わたしは 忘れてしまう
最果てで微笑する永遠はたくさんの光をまとっている
あなたがいなくなって
わたしが歩けなくなった時
わたしたちの頭上にたくさん
たくさんの光が降ればいい


終わりのない 永遠みたいに




自由詩 まぼろしの通信 Copyright e.mei 2009-07-27 15:37:04縦
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