流星群
e.mei



夢がまた落ちてゆきました
いつか僕たちはまぼろしの形をした記憶のなかに沈みます


君には誰も読んだことのない本を読んでほしい
うまれる星の話
海に咲いた永遠の話を
世界中の誰も言葉なんて知らない
目を開けば僕たちは明け方に消えた波みたいに
たちまち粉になって消えてしまいます
光の世界のなかですべてのものと融け合いながら
千回目の死を見つめ終わる頃に
泳ぐことをやめた真夜中の魚は霧のように薄く広がってゆく


月も太陽も人間も永遠も
何もかも
沈んでばかりいますね


風がやみ
夏に雪が降りだして
君が透明になったその時が旅の終わり
なのかもしれません





「(……)ね、」


「何がそんなに、悲しいの、」


「夢を、視ること。」





誰もいないホーム
電車を待たせながら君を抱きしめる
星の見えなかった夜の終わりに君は何を視ていたのだろう
何もかも全てが眠りについた世界で
君の体温を記憶する
言葉は永遠のまえに消滅して
僕は空に降る光を
視ていた


自由詩 流星群 Copyright e.mei 2009-07-25 13:58:51
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