雲海
夏嶋 真子




星は瞬きを禁じられ
月は白む空に輪郭を透かす
夜が死に
朝が生まれ落ちるまでの
混沌と森厳に漂う

四海の色を数える頂
一瞬は濃淡により誓われ
時は不動のまま移ろう

雲海をおよぐ魚
背には錦の海図を光らせ
銀剣草の所在を示す

しなやかな刀剣を引き抜き
囚われの湖を満たす
雲彩の宝器を破砕する


萬を塗りかえる暁光


再生される自我の中
地上が現今を手にした時
瑞雲の海原を住処とする
蝶達の抑揚が繻子となり
あまねく世界を包みこむ

始まり続ける空が始まり
その下を歩み始める者の影は
絶え間なく創生を歩み始める


残照に死すまで








携帯写真+詩 雲海 Copyright 夏嶋 真子 2009-07-17 13:24:03
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