ツーリング×ランデブー
1486 106

キスしようと男に言われたおじさんは
夜行列車の中で妻のことを考えていた

お相手はロックンローラー
彼にとっての楽園は二ヶ所
一つは名前を忘れたけれど
たしか四文字のケーキ屋で
もしかしたらここかもしれないと
直感で入ったチョコ専門店で
双子の友達が一緒にいるのに出会った
「はじめてドッペルゲンガーに遭遇した」と
冗談を言ったらすごく怒っていた



キスしようと男に言われたおじさんは
大きなバイクにまたがって田舎道を走っていた
右手には鳥の飼料 後部座席には彼を乗せて
20トンくらいあるトラックが後ろから煽っていたけど気にならなかった

江戸村みたいな作りの山小屋は
降り続いた雨のせいで濡れていた
おじさんはテーブルに仰向けになったまま
妻の住む家からこの場所が見えないか
それだけを気にしていた


自由詩 ツーリング×ランデブー Copyright 1486 106 2009-07-10 14:29:46
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
世にも奇妙な夢物語