真夏の惑星
aidanico

南へひたすら南へ熱に浮かされた儘ぬるい体温を一刻も早く沸騰させようと滾る血液だけがただただ濁流であった嵐であった私は滝のように流れる汗を拭うことさえ許されない旅人とも旅客者とも括られない事に違和感を持つことが寧ろ違和感である遺憾である私は概念の話をしている訳では決していないのであるがしかし理屈ばかり捏ねる奴だと鼻先で笑われることは多かった詩や小説の中で私たちは自由の代名詞として気まぐれの象徴してしばしば直喩叉は暗喩される私たちが収穫の季節や安っぽいメロ・ドラマの最高潮クライマックスでそれ見んことかとばかりに吹荒れるのを「偶然が生んだ奇跡だ」だの「我らの苦労を神はきちんと見てらしたのだ」だのと好意の対象を瞬く間にすり替えてしまう神だって?それすらお前たちが勝手に作り上げたものじゃないか言わば回りくどい自己陶酔ナルシズムだ滑稽だ反吐が出るそんなものにはもう飽き飽きした南へ南へ太陽の焦がれる僻地で渇いた喉を潤すのが今と成っては一番の夢なのだ。


自由詩 真夏の惑星 Copyright aidanico 2009-07-10 00:48:56
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