現世
あおば


                  090707


空蝉の声が喧しい夏
スイカにかぶりつく
誰何されると
直立不動で敬礼する癖が抜けないので
右腕をへし折って
マネキンの細腕と付け替える
生え替わる恐れはないと
ほくそ笑む傍で
猫が顔を覗かせて
つまらなそうに笑うから
腹が空いて昼になったのだと悟る
おまえはいくつになっても
鈍いのだからと
テストの答案のペケ印に目を走らせる孟母の三遷の教えを思いだす
今から3階級突破するのは無理でしょう
自転車のギアはこれ以上は速くなりません
エコカーの悲鳴のようなブレーキの音がして
誰かが驚いて飛び退くのが見える
我が家のバンドブレーキのエコカーも
自転車という名を嫌って
カーという名を付けて貰って
最近はやけに元気であります。



自由詩 現世 Copyright あおば 2009-07-07 05:23:35
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