亡命者
こしごえ

私は現在。
湾刀の先で風を切る一隻の、ゴメ
一隻の ゴメだ
これは帰れないみちのりであって
忘れていることなど何もない、道

ここに道があるからあるいて行く
あそこにはたどり着けないとしても
引き返すことは出来ない

青果へと歩むのは
いつか切られた風の声音
それが 続いていく
空を高く高く ??として
光のとどかないむねの深奥に
しきつめた花の化石製石だたみの道で
目を凝らし果ものをむく小刀が反射する

焦点に囚われず 重い水底を見つめよ
と聞くゴメの視線はひっそりとはるか遠く
おもいでがみちてささやく血を宿している

私は現在。
亡命の途につき
融合する水平線



自由詩 亡命者 Copyright こしごえ 2009-07-01 08:30:00
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