公園
佐々木妖精

家からも駅からも離れていく
かげすら踏まず蛇行する
昼は知らない人が沢山いるが
夜は知らない人がいない
いつの間にか気付いた場所

街灯なき公衆電話
110番と119番
寝たまま息を吐く光源
ケータイを構える事なく
電話帳を探るまでもなく
僕はその番号を知っている
ねたこを起こすな

テニスコートを覗けば
フェンス越しにふて寝するボール
こんばんは シダ科です
などと突付いて転がす
闇雲に乗り越えた植物の群れが
まだらに忍び込んでいる
木陰と夜の隙間を縫って深さをはかり
寝返りをうつボールへ ヒラヒラ伸びる指

こどもを眺める
まだ背の低い繁みだ
知っている子へ会いに行こう
こうやって撫でに行こう
撫でられたいけど長身だ

桜の樹の下と 舞い散った花弁の上で
のらのらと積もるしろねこや
ここが家かとしゃがむ突風に
目を見張る生き物よ
君が逃げるより速く
僕がこの場を離れよう

振り向きざまに暗転したねこは
今も静かにだらけている


自由詩 公園 Copyright 佐々木妖精 2009-06-30 19:37:18
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