アバンなギャルについて
山田せばすちゃん

昔女友達とお茶してたときに、その子が溜息をつきながら俺に聞いたことがある。
「アバンギャルドって何語か知ってる?」
「へ?」
「アバンギャルド」
「フ・・・フランス語」
「やっぱりねぇ。。。」
彼女はストローでアイスコーヒーの溶けかけた氷をかき回しながら窓の外を見た。
「なんやねんな」
「今付き合ってる男がね、京大の工学部なんやけど・・・」
「うん」
「アバンギャルドは英語だと思ってたんよ」
「ほお」
「アーバンなギャルだと思ってたんやって」
「都会的な女の子という意味か?」
「そうみたい」
「都会的な女の子は前衛やったんか。。。第一、ギャルって英語ちゃうやろ?」
「うん。。。」
彼女は僕の煙草を一本取り上げて、くわえた。
ライターで火をつけようとする僕を手で制して、お店のマッチで煙草に火をつけて、深々と一息すうと
「やっぱりあかんかなぁ。。。工学部は。。。」
「文学部にしといたらええねん」
「文学部の男なんて人間やと思ってへんもん」

18の年からずっと、男運の無さを嘆きながらも彼女は絶対に俺になびこうとはしなかったのだけれど、そしてそれはいまだにそうで、今年40になるって言うのに、まだ結婚もしないでうだうだと彼女は一人でやっているのだけれど、それはそれでまた別の話だ。


散文(批評随筆小説等) アバンなギャルについて Copyright 山田せばすちゃん 2004-09-02 12:30:42
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