記憶に並んで
霜天
透明に
張り詰めた
ガラス窓から
朝日が零れているよ
覗き込むと
昨日が
音も立てずに沈んでいくところで
空間
四角く区切ったそれを
大勢の息で共有しながら
積み上げられている
通りに面して
誰かが忘れた虫取り網から
隙間の空を観察している
捕まえた虫のその後のことを
何も考えなかったわけではないけれど
庭の隅で静かに消えていった
小さな複数を
僕はもう
忘れ、そうだね
内側ではもう、記憶に並んでいる
麦藁帽子の境界線で仕切られた空では
夕日が半分になっていた
赤
を少し薄めたような
瞬間が好きだった
そんなことさえ
並んでいく
四角く区切られた空間に
一杯に詰め込んでも足りないほどの
すべて
張り詰めたガラス窓からあふれては
ゆるやかに、遠ざかりながら
記憶に並んで
いく