記憶に並んで
霜天

透明に
張り詰めた
ガラス窓から
朝日が零れているよ
覗き込むと
昨日が
音も立てずに沈んでいくところで

空間
四角く区切ったそれを
大勢の息で共有しながら
積み上げられている
通りに面して
誰かが忘れた虫取り網から
隙間の空を観察している


捕まえた虫のその後のことを
何も考えなかったわけではないけれど
庭の隅で静かに消えていった
小さな複数を
僕はもう
忘れ、そうだね

内側ではもう、記憶に並んでいる
麦藁帽子の境界線で仕切られた空では
夕日が半分になっていた

を少し薄めたような
瞬間が好きだった
そんなことさえ


並んでいく
四角く区切られた空間に
一杯に詰め込んでも足りないほどの
すべて
張り詰めたガラス窓からあふれては
ゆるやかに、遠ざかりながら
記憶に並んで
いく


自由詩 記憶に並んで Copyright 霜天 2004-09-01 02:10:56
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