一月
非在の虹

北風にはこばれてくる
除夜の鐘の音
をはじめて聞いたおどろき
きみをせかせて
午前零時十分
外へ出たのだ
深夜の新年を祝うため
遠い振動
からだをつつむ時間
おわりとはじまりの相反する時を
梵鐘は交合させるのか
冷気があたたまる
梵鐘はゆらりと近づく
寺はどこにあるのか
地図をさがしたが
ただ小さなみずうみがあるだけ 
そうなのだ
凍った湖水に
沈める寺院

朝がくると
まいとしのように
ただに明るく
数時間まえに聞いた鐘の音は
ぼくには過去になっている


自由詩 一月 Copyright 非在の虹 2009-05-31 22:10:28
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歳時記