まずい物を食べさせられても、君が好きだから。
千月 話子

味気ないカレーを食べた
寝言は 「虚しい、虚しい」と繰り返すばかり

角膜に幻覚を突き立てて
あくる朝 すっかり日が昇る前に
確実に思い知らせよう!

真っ赤な唐辛子をかじりながら
高潮に向かって   「ばかやろー!」
と 雄叫びをあげるんだ

体中が ヒリヒリと痛み出したら
目 を開けて
隣で眠る 君にキスして
 フン! と笑う

 カレーを不憫に作る人  あるいは・・・天才。



伸びきったラーメンに チャーシューは無し
沸騰したお湯が 119番を押そうとしている

血液に 氷点下の氷を混ぜて
夕食の腹の虫が わめき立てる前に
確実に 思い知らせよう!

パンツのゴムを きついほど縛り上げて
日焼けサロンで脂が出るまで  「このやろー!」
と言いながら 暴れ回るんだ

体中がトロトロに 溶け出しそうになったら
深呼吸 して
台所でニンジンを ぶつ切りにしている
君に 寄り添い
頚動脈を軽く かじる

 ラーメンを不備に作る人  偏って・・・秀才。



君の膝枕が柔らかくて  君の髪がサラサラ光って
君の肌が少し塩辛くて  君の笑顔が甘いから


優れた味覚を だまし、だまし
敏感な感情を なだめ、さとし
 いつも僕を 思い知らせよう


 何でも出来る 僕は・・・平凡

 少し変わった  君が ”好き”   


自由詩 まずい物を食べさせられても、君が好きだから。 Copyright 千月 話子 2004-08-30 23:15:59
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