パーソナルカラー
佐々木妖精

平穏な毎日の中で思い出す
都合のいいきみは
なんだかアニメのようにチカチカして
曲がり角で衝突するために 疾走してみるのだが
ぶつかるのは壁ばかり
たかがメインカメラをやられただけだと強がりながら
コブシでぬぐう

僕らのモビルスイーツは大破した
走れと叫ばなかった僕が悪いのか
蜜月期に共同開発したコロニーは墜ち
ただ哀しみだけが空と大地を覆った
移住の際に撮影したフロンティアも
いまや一面の焦土と化し
ミノフスキー粒子の濃い窓枠が
またねを閉じ込める

僕らのモビルスイーツは大破した
僕らの間でしか意味をなさない通信が
これから解読されることはないだろう
クリスマスに共同開発した新型が
メレンゲの段階でメタリックであり
それはボールの色が落ち付着したのだということを
マグネットコーティングの一言で解読できる人は
脱出ポットと共に消息を絶ってしまった
ネチャネチャした食感にしかめた笑顔とは
また別の識別信号を残して

さようなら 僕らのMSマカロン
僕らのモビルスイーツは大破した
ポケットの中でただ
きみの手を抱く強さで
量産型を握りしめている


初出mixiコミュ「ペペロンチーノ・フィクション」


自由詩 パーソナルカラー Copyright 佐々木妖精 2009-05-14 19:20:24縦
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