蝶つがい
aidanico

番いの猫を見た、真昼の雨の中、二匹は体を寄せ合って、互いの毛並みを舐めあうように、お互いを確かめ合うように、彼らは存在した。短く、途切れ千切れて、俄に声が聞こえる。わたし達は繋がっている、いちばん下の大切な場所で、それはゴムのようにしなやかに伸びて、また磁石のように強い結び付き。あなたは貝で、私は鳥ね・僕は雨で、きみは土だ・目と目のはし、切れ長の延長で、おなじ夢を見るの、昨日も明日も生まれる前も。押付けられたからだが君じゃあなくなったとき、私は涙を流して、おまえのなをよぶだろう。子供のように泣くだろう。番いの猫を見た、真昼の雨上がり、二匹は寄り添い雪崩かかりながら、互いの境界を無くしていった。そんな頃もあったと、わたしはわたしのとうに切り落としていた番を少しだけ思い出した。



自由詩 蝶つがい Copyright aidanico 2009-05-09 09:43:59
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