件の愛
aidanico

足首から透かして真っ青な血潮が猛るように遡ってくるのが、
みえるよ!
気付いていたかい?知っていたんだ、きみは!
今摂取した食物が喉を通って捻れ巻かれた管を通り越して、
降り注ぐことを!
頭の頂点から湾曲した背骨をとおり其の侭なめらかに
滑り落ちていった、もう何時間も前に。
眦は紅をひいたようにあかい。
くちびるは動かすたびに濡れて柔らかくなる、
柔らかくなる。
聴いていたかい、体の中心から滲み出て、
掻き回す音を、ああずっと、
聞こえていたのに。しらないふりを、していたんだ、ずっと。



自由詩 件の愛 Copyright aidanico 2009-05-09 09:43:26縦
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