(ボソボソ悪態つくな。産毛みたいなヒゲ生やしやがって。自力で殻も破れない雛鳥が。お前らに売るヤニはねえ。消費税しか払えない、ふやけた身分証掲げろよ。売る売らないの、選択権と決定権は俺にある。せいぜい俺の顔色うかがって、ハトみてえに首振ってろ。)
別に何が、あったわけでもない。
食事をするのも命賭けな鮫の頭が吹っ飛んで。
ベトナム帰りの軍人が、モヒカンで孤軍サバイバル中なのも。
どうぞご賞味くださいませと、銃弾喰らわせたい気分も。
乱射して運良く皆、一命を取り留めてくれりゃいいのにっていう祈りも。
細やかな掌にくるまりたいみたいな未練も。なあ
永遠のられっこよ(たゆたうぬくもりとこえがほしくて、錆臭い爪でかいてしまう
俺達はきっと、獣として正しすぎるんだ(豚みてえに重い荷物担いで・熱湯みてえな酒浴びて・素肌に犬歯突き立てて・
獣臭さ。酒臭さ。満員電車に吊るされて、職場に着くとヤっちまう
(盗み・博打・殺し・性戦・
緊縛プレイの針葉樹よ。自分を綺麗だと思うか。
有史以来のされたがり。
むしられるだけむしられて、裸になったら殺される。
なんも言えねえデクノボー。
俺達はきっと、戦争が大好きだ
俺達か 俺はきっと、大好きだ(・きみが。
場所も相手も選べず
ただ世間とやらに揉まれ
揉まれる箇所も強度も選べず
揉まれ慣れてるわけもなく
痣だの癌だのこさえようと
揉まれちまったわけじゃない
気持ちいいから揉んでくれって言ってんだ
今日明日中に膝ついて
心から身体がズリ落ちようと
きみの根っこに触れてみたい
ゆれるおと 指の隙間を埋め 嗚呼。)
初出・「詩と思想」2009年5月号読者投稿作品
(改行等訂正)