天使の肌は冷たい
佐々宝砂

あかるくひかる空の雲は氷点下である。

なにを恐れているかしらないけど
きみはあかるい空をあおぎおびえる
わきあがる雲をみてふるえる
ゆらぎさる風にふれておののく

きみを
ちょっとだけ助けられたらいいんだけど
天使の肌は
つめたすぎる

あかるくしろい尾根もきっと氷点下である。

恐れを取り払ってしまいたいのに
それはわたしの恐れではない
涙を吹き払ってしまいたいのに
それはわたしの涙ではない

きみに
ちょっとだけ声をかけたいのに
天使の肌は
今朝もひやっこくて

だけどさよならはまだ言わない
絶望しない
だからどうか
まだそこにいて

天使の肌は
氷点下に凍って
あくまでもうつくしく。


自由詩 天使の肌は冷たい Copyright 佐々宝砂 2009-04-18 07:17:16
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