臨月
千月 話子

       ジェリーフィッシュ・ノクターン



今宵 月は 青白い顔で   産気づく

「ブルームーン。
   幸福に溢れた
       子らを
         この水へ・・・・・」


静寂の 海が 囁く ように

祝福の 歌  歌う




夜晴れの 空は さざ波

寄せては 返す 白い 泡



遠く深き 水底から

一つ 二つ ・・・・・・・浮かび上がり

波間に 揺れる 月の子よ



産み 落とされて

掲げ られて

住処は 海と 空の はざ間



月光の 乳を からだに 受けて

白く 光る 柔肌に

揺れて ゆら ゆら

虚しく 消える 毒の 幻想



月 母 の 魅了

海 父 の 細 剣

生まれては 纏い

水面 彷徨う



ひしめく 波に 乗れない 朝の

半透明は  月の砂




異質の 浜辺に

もう     誰も いなくて・・・・・



自由詩 臨月 Copyright 千月 話子 2004-08-25 16:29:48
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