光のつぶてとパッセ
嘉村奈緒

 

純然たる君の回り続けるスカートに
くるまって君にしかわからない合図を送るから
光のつぶてで冠を編んで
この世界が、目まぐるしいこの世界が
つくづく目まぐるしいので振り返れば泥土でしかなかったとしても
君が美しいと思うものを
美しいと言える
雪解けのようなものが
この先にあるんだって
前を
ただ真っ直ぐに前を見て
君が打たれる始まりのものが
魔法と呼ばれるものだとして

君の冠がそこにあるというだけで
何か特別なしるしのように思える
迷子になっても
もうまったく走れない時も
夕暮れに
影を落としても
するから
他の誰に届かなくてもいい真っ直ぐな合図を
君にするよ
そうしたら君はあどけなくスカートを揺らして
だから冠が小さく揺れて
零れ落ちてきたそれに
打ち抜かれたっていい
君に触れられるとして
美しいということなんだって
合図するから
振り返って
雪解けだねって





   


自由詩 光のつぶてとパッセ Copyright 嘉村奈緒 2009-04-07 00:28:34縦
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