太陽は権力の匂いがする
すべすべした君の肌から黒いレモンが香る。
ひかり、降る
ひかり、降る
兄貴は行ってしまう真夏の海、連絡船
君は喪服で
あに、と僕と一緒に座っていた。
あの堤防のさきっちょで
黒いレモンのペンダントをして笑う
君は喪服でフランス人形みたいに愛くるしくて
黒いレモンのペンダントをしていた
僕はちっぽけな貝殻で、海の藻屑で
君は喪服で
黒いレモンのペンダントをしていたんだ。
ふれあいたい。フレア、痛い。いたい、君といたい。手を、つなぎたい。
君は堤防におおぶりのレモンをひとつ、置く。
煮える真夏の堤防にレモンは匂うように溶けて
懐かしい喪服を着て笑っている
不思議な事に浜から見える火葬場の煙突に、煙はいつも見えないプラズマ、
棺をなめる炎は黒い太陽のフレア、なのだ。
「アインシュタイン交差点で待つ/ノーブルなプロミネンスに焦がされて死ね」
兄貴は行ってしまう真夏
の蜜柑、ひとつぶひとつぶが船に見えた連絡船だ
兄、と堤防から、しょんべんをした
波は引潮、僕たちのしょんべんも夕陽へといつかは流れ着く
堤防の足元を洗う貝殻どもは骨のように澄んだ音をたてる、しゃらん
僕たちは海の藻屑だ
君は喪服で
夕陽に向かって海をすべるように歩いてゆく、あに、もいつのまにか君の
うしろを歩く同伴者の一人、だ
兄貴は行ってしま、う。
あに、よう
あに、よう
兄をつれてゆく君
僕は君に、ずっとふれていたかった。死の妹よ
ふれあいたい、マリー、海にレモンを浮かべて死を呼吸して
真新しい喪服に着替えよう
みずみずしい朝の輝き/ノーブルなプロミネンスに焦がされて生まれ変われたら
フレア/フロイ/光
太陽は権力の匂いがする
ふれあいたい。フレア、痛い。いたい、君といたい。手を、つなぎたい。
「アインシュタイン交差点で待つ
/ノーブルなプロミネンスに焦がされて兄とともに死ね」
レクイエム・レモン
ひかり。
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2004/8/15 朗魔 にてリ―ディング
『レクイエム・レモン/ひかり』long version
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