吐息
1486 106

胸の中 封じ込めてきたのはね
捨ててしまいたくない思い出だとか
忘れたくない温もりだとか
触れれば消えてしまいそうなものばかり

口の中 封じ込めてきたのはね
あの日言えなかった台詞だとか
聞かれたくないような本音だとか
行き場のない孤独のようなもの

素直だから我慢してみたり
楽しいことを見つけようとしたりした
危なっかしく歩いて 歩いて
また同じ壁にぶつかってしまうの

吐息 奥、奥の方から込み上げてきて
吐き出したら冷たい空気に溶けた



寒いからって抱きしめてくれた人を覚えている
熱すぎるからって突き放した優しさを覚えている

もう一緒にいたくないって思ったのは一瞬だったのに
もう一緒にいたくないって言ったら永遠になっちゃった

素直じゃないから傷付けたり
また同じように傷付けられたりした
危なっかしく躓いて 躓いて
頼れる人が見つけられないの

遠い記憶、奥の方から込み上げてきて
吐き出したら目の前の景色が白く染まった



冬は一人じゃ乗り越えられない
そう思っていたって春はやって来る

吐息 奥、奥の方から込み上げてきて
吐き出したら今すぐにでも会いたくなった

遠い記憶、奥の方から込み上げてきて
吐き出したらもう一度だけ会いたくなった


自由詩 吐息 Copyright 1486 106 2009-03-22 21:17:34
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