詩人の話、他
プル式

「春待ちワルツ」



学校を遅刻した日みたいに小さな開放感(バカンス)
ほわほわの光と人気のない道
ワルツのリズムで足を出すのさ
てくてく歩こう寄り道しながら

いち にっ さん
いち にっ さん

ヘリコプターがパタパタ飛んでって
鼻をかすめて虫も飛び出してった
春待ちのリズムは柔らかなのさ
てくてく歩こう他所見しながら

いち にっ さん
いち にっ さん

信号待ちで車の窓が開いて聞くんだ
この辺りの桜は咲いたって
僕は言うのさもう一息さ
てくてく歩こう梅でも見ながら

いち にっ さん
いち にっ さん

少し冬風が吹いてぶるってしても
なんだかちょっぴり解る気がするんだ
春は隠れて覗いてるのさ
てくてく歩こう休憩しながら

いち にっ さん
いち にっ さん

ワルツを踊って春を呼ぼうよ
照れて笑った顔した春をさ
呼んで欲しいってもじもじなのさ
てくてく歩こう鼻歌しながら

いち にっ さん
いち にっ さん

てくてく歩こう寄り道しながら
スカートなびかせお散歩するのさ
いち にっ さん。



2009-03-03 12:03:31
「太陽と言うプログラム」


陽射
大きな橡の緑
葉に反る光と陰
春になる
過去に捨てた春になる
輝く線路に支配される列車の様な
敷かれた道を進む美しい塊になる

窓には冬から帰った命が開いている
線路沿いには柔らかな風が吹く
誰もがこんな風に生きている

だけどもしかしたら

風がざわめく
開き始めた蕾は再び息を潜め陽射を求める
身を焦がす程に強い陽射を求める
ギラリと白い線路のその
二本の水の煌めきにも似た檻に囚われながら
安らかに眠り夢を見る

ここに居ない自分
夢じゃない自分
味方しか居ない自分
味方が居ない自分
今じゃない自分
過去に居た筈の

暖かな電車の窓に
うたた寝をしながら夢を見た
キラキラと輝く橡が流れ
優しい風が葉を揺らしている
カタンカタンと揺れる電車に
夢は優しく肩を撫でる
そこに居続ける小さな勇気
ありきたりと諦め
開いた扉に踏み出さなければならない
そうして後は
この足で歩かなければならない。




2009-02-27 15:54:47
「詩人の話」

小さな物語の中で出逢う様に
世界は少しずつ分断されていく
そこでもし僕らが出逢ったのなら
それを運命と言わずに何と言うのだろう

すれ違うその時まで
僕は君の事を知らず
すれ違うその時まで
君も僕の事を知らない

しかし考えても見てくれ
僕はここに居るし
君も間違いなくそこに居るのだ
間違いなくそこに居るのだ
だから聞いてくれ
もし
少しでも勇気があるのなら
その手に
砂粒の様に小さな言葉を乗せて
僕に見せてはくれないか
触れる事すらママならぬ
互いの心にかえて。


自由詩 詩人の話、他 Copyright プル式 2009-03-08 12:10:36
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