星どもが産まれたら
ピッピ

赤血球とか、白血球とか。深夜に光るのはそれだけで、あとはずっとだんまりを決め込んでいる。寒い、と震えるのはあなたの亀頭。許せない、とつぶやくとそれはぱち、と音を立てて消えた。帰ります。ぱち、ぱち、ぱち、ぱち。帰路には何もなくなりました。そうして上を向きましょう。あの星どもには、全て名前がついています。ぱち、ぱち、ぱち。名前のあるものを消していく方が楽しい。赤血球とか、白血球とか、には、名前がない。それがあたしたち。呼吸を続けているあたしたち。呼吸にも名前はない。それが、あたしたち。夢を叶えましょう。武器の少ないあたしたち。手足と、あたまと、他人に使えるものはそれくらい。あとは自分たちで使うもの。時々消えてゆく名前のあるもの。はじけ飛ぶ赤血球とか。あたしたちが増えていく。あたしたちのおとうさん。おかあさん。こども。明日の朝になれば、星どもはありません。星どもを産む誰かが、あたしたちを消していきます。ぱち、ぱち、ぱち。のどの奥で、光は待っています。寒い。ぱち。おやすみなさい。


自由詩 星どもが産まれたら Copyright ピッピ 2009-03-04 00:34:26
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