ストロベリーストリート
虹村 凌

ロドリゲスは真っ赤な革ジャンを着てこう言うんだ
100両編成の貨物列車を見に行こう
信じるか信じないかは別だけど

俺は買ったばかりの真っ黒い中古のロングレザーコートを着て
真っ白いセブンスターって言う煙草に火をつけるんだ
ウサギのマークのついたジッポで

モマみたいな形をした駐車場と
何を教えているのか知らない料理学校の間の
薄暗くて汚い通りがあって
名前をストロベリーストリートって言うんだ
面白いだろ
でも別に何も無いんだぜ
ロドリゲスはそう言って俺にセブンスターをせがむんだ

俺は一本のセブンスターをわけてやる
ロドリゲスは満足げにそれをくわえてどっか行っちまった
大体ロドリゲスが本名なのか何て知らないし
奴が何歳で何をしているのかも知らない
ただバス停で出会った変な男ってだけで

ロドリゲスから見たら俺も相当イカれてるんだろうけど
そんな事はどうでもよくて

バカみたいな事がしたいんだ
薄いボタンシャツを着ているからセックスしたくて仕方ないんだ
犯されたくて仕方無いんだ
ストロベリーストリートでセックスしようよ
煙草吸ってる料理学校の生徒に
コンドームを投げてやろうぜ
精子がたっぷり入ったやつを
奴等だって拍手してくれるさ

終わったら100両編成の貨物列車を見に行こう
自分の国じゃ見た事無いだろう?
ここじゃ本当にあるんだぜ
ロドリゲスが言ってた事は本当なんだぜ

アメリカのコンドームにゃ精子溜が無いって知ってたか?
スティーブがニヤつきながら言う
俺は知らないと答えてコカコーラを飲み込んで
犯罪とドラッグと酒と女と筋肉に
ケチャップをかけてパンに挟んだらアメリカが出来るって知ってたか?
って聞いたら
スティーブの野郎
腹を抱えて笑いやがった
そいつぁ間違いないって

バカみたいな事がしたいんだ
バカみたいな事がしたいんだ
バカみたいな事がしたいんだ
今日は一日中薄いボタンシャツを着ていたからセックスしたくて仕方ないんだ
犯されたくて仕方無いんだ
ストロベリーストリートでセックスしようよ
俺の事を犯してよ
そうしたら
100両編成の貨物列車を見に行こう
100両編成の貨物列車を見に行こう


自由詩 ストロベリーストリート Copyright 虹村 凌 2009-02-27 16:23:36
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