王様の耳はパンの耳
nonya


一昨日の朝食で
僕の耳に
ピーナツバターを
こびりつかせたまま
サニーレタスと一緒に
皿の隅っこに追いやったのは
誰だ

昨日の朝食で
僕の耳を
ホットミルクに
浸しこんだまま
プチトマトのへたと一緒に
三角コーナーに投げ入れたのは
誰だ

確かに僕の耳は
ワイドショーの発言者の声や
ふてぶてしい預言者の声が
自分の声のように
聞こえてしまうのだけど

確かに僕の耳は
聞きなれない批判や
聞き苦しい真実には
反応しないように
出来上がっているのだけど

体裁のいい
サンドウィッチの馴れ合いに
加われないばかりか
なんのためらいもなく
切り落とされてしまうなんて
全然納得いかない

僕が王様だって
どこかに書いてあるんじゃなかったの?

どうでもいいけど
アンタ
笑い過ぎだよ
えっ?
僕の耳が
喉に詰まったから
助けて欲しいって?

助けてやってもいいけど
その前に
ゴールデンタイムの
生放送で叫んで欲しいな

王様の耳はパンの耳
ってね




自由詩 王様の耳はパンの耳 Copyright nonya 2009-02-26 19:14:57
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