らいこう24(春の心臓)
れつら

わたしたちは、
とても多くのものを、
知りすぎてしまったと思うの、
彼女は言った。
短い晴れ間に雲がさすこと
宇宙は青緑に澄んで
見えない星をあるものにした

わたしたちは、
目をつむればつむるほど、
よく見えるようになってしまったと、
彼は言った。
心は握りつぶせること
音はたわみ消えゆくこと
すべてのものは息をころし
そのまま朽ちていくことも

川辺にいて、
鳥の囀りを聞いたのと
らいこうを見たのは同時か、
でもそれもわたしの頭の中
遅れてきたひかりが
こころに追いついたとき
身体は動けずに
走り去る気持ちを目で追っている

わたしは日が昇りきってから、
ねむることに決めて、
でもそれがどこかはわからない
この朝が一瞬で
どこかに動いてしまって
まぶたの裏が白いまま
こびりついたらいこう
心臓が脈打って
ねむれなくなってしまう




自由詩 らいこう24(春の心臓) Copyright れつら 2009-02-21 18:13:17
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