秘密基地(草稿)
れつら

やることがないからネットしてる
何時間もクリックとスクロールを繰り返している
途切れたリンク先で後ろ向きの矢印を叩く
ここはいつか歩いた
糸くずが指先に絡まっている

ここはどこだろう
デスクトップに打ち捨てられたURLを貼り付けて
画面の奥を見る
ノットファウンド
ほんの数十バイトに要約されてしまった粒子が
ディスプレイと眼球の合間で跳ね返り続けて
視力を削り取っていく
むしょうに誰かと話がしたくなって
出会い系の宣伝ばかりが流れている掲示板に文字を叩き込む
ハロー、ハロー、
携帯電話を掴んで電話帳をまさぐる
かける先がなくって適当に番号を押す
パルス音が鳴って、表示されている友達の名前があまりに昔で
おもわず電話をきってしまう
指先は正直だ
文字を書くことが少なくなっても
にほんごはいつでも呼び出せる
挨拶だってできるよ、どこにも届かない手紙でいいなら
ドアを開ける
歩き出したのはいいけど行く宛てはないし
このまま知らない路地で折れてみようか
すれ違う人と合わせた視線もすぐに切ってしまう
知らない目玉がまとわりついている気がして
振り返ると誰もいない

(中断)


自由詩 秘密基地(草稿) Copyright れつら 2009-02-16 14:26:49
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