屋内 暖色灯
鎖骨




あらゆる成功が、もう
起こりえない予感に冒されて、
そのために、もう
赤茶けてしまった、ている、信念さえも
切り売りしなければならない
症候


めぐるたびに春は、鮮やかさをうしない
思い起こされるのは、もう
雑踏と埃の匂いだけ、
それだけで


女の子たちは、可愛い装いで
天体や将来の話をするのが好きだね
でも、それは嘘だろうと思う
彼女らが好きなのは太陽系でも銀河系でも
あらゆる事象の美しく滑らかな表面でもなくて
レース織り布の言葉遊び、あまい体液交換
ぬるい汗の掛け合い
煙った呼気が覆う天井
栄えていくつもりで
個と現実の価値を妄信するためには
盲目にならなければならないなんてなんて皮肉
おしなべて黴ていくだろう
気づけない速度で


陽が、落ちてくるよ
はやく帰ろう
あたたかいご飯を食べるよ







自由詩 屋内 暖色灯 Copyright 鎖骨 2009-02-16 00:45:19
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