雪ならいい
れつら

とっくに詩人でなんかなかったことを
ようやく認めようとしている

 もういらない飽きた
 雪でもいい 食べたい

とっくに凍えて死ねてしまうのに
肌の強さで生きてしまえる
身体は絶えず冷たいと愚痴るのに
心のほうがにやにや笑えというのだ

できそこないの思いがくやしい
みじめに散っていく飛沫
水が轍を覆い、冷たくなれば凍る
おりてくるのが雪なら
足跡も残せたろうに
雨だからできない
順序がまずかった
出会うやりかたを、やりかたが、
差し替わっていたならば

「寒いの、平気なの、私は、雪国の生れで、ほんものの北国のひとだから、
お茶とか、飲みます?あったかいの、淹れますけど」
やさしい彼女は友達
なんかおもろいこと言おうと思って
口先がべとつく
こんなに寒い日でも
雪なら冷たいだけで済んだ
肩からはたき、落として、
歩けばよかったのだけれど



自由詩 雪ならいい Copyright れつら 2009-02-10 23:25:20
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