Davidは我々を理解できない
いとう




薄暗い街灯を避けるように
Davidが
深夜の公園で立っている
ように見える
満面の笑みを浮かべて
いや
満面の笑みを浮かべている
ように見えて



 Davidは
 自分が何であるかを知っていて
 いつどこで何をすべきかを知っていて
 それらを知らないことを理解できなくて
 それらを知らない我々を理解できない
 Davidにとってそれは
 生きていないことと同義で
 Davidにとって我々は
 生きていないに等しい



Davidの形が揺らぎ始めて
やがて小さな肉虫の集まりのように蠢き始めて
少しずつ
崩れていく



 ねぇ君。
 いや、君たち。
 君たちは自分が何であるかもわからず
 いつどこで何をすべきかもわからず
 怯えていることにも気づかず
 生きていないことにも気づかず
 そのように廃墟を構築して
 暗がりに潜んで
 それを
 呪いと言うのだよ
 君たちは呪われている
 君たちは明らかに呪われている
 呪われていることにも気づかずに



Davidはやがてその原形をすべて崩し
腐敗してボタボタととろけ落ちるように
少しずつ
落下していく
Davidのすべてが落下した瞬間
また別の
離れた場所に現れて
満面の笑みを浮かべている
ように見えて
立っているように
見える

薄暗い街灯を避けるように




自由詩 Davidは我々を理解できない Copyright いとう 2009-01-06 14:06:47
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