小原あき

最近、体が重くなった
癖がひとつ増えたから




街中では
がちゃがちゃと
大人たちが
癖を重たそうに
引きずりながら
歩いている


誕生日にひとつ
プレゼントされるみたいに
誰かからもらうわけではないけど
自然に
小石みたいな
癖が




おじいちゃんは
わたしの四倍くらいの
癖を
がちゃがちゃ引きずって
とても歩きにくそう


でも
おじいちゃんの癖は
ビー玉みたい


「お前の癖は小石みたいだな」
「おじいちゃんみたいに綺麗になんないね」
「ちゃんと食べて、ちゃんと眠って、ちゃんと愛し合っているのか」


重くて
欝陶しくて
蹲って
小石みたいな癖を
ひとつ
撫でてみた


なんだか愛しくなって
撫でて撫でて撫でて
飽きるまで撫でて
そしたら
薄ら汚れたビー玉みたいになった


これは最近
できたばかりの
「すぐに白を選ぶ」癖だった




二十も歳の離れた従弟が
よちよち歩きで
こちらに来る
その足元には
マシュマロみたいな
癖になりそうな
柔らかなものが
従弟に離れまいと
必死にしがみついているのが
とても愉快だ






自由詩Copyright 小原あき 2008-12-26 22:36:21
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