ショートレビュー・サンデー 3 年末版 
露崎

 「ショートレビュー・サンデー」略称SRSの年末版です。
 2008年の印象にのこった現代詩フォーラム内の詩をふりかえったり、つれつ
れとおもったことを書きます。


 2008-02-08  アースシャイン  夏野雨さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=147713

 詩は「なんか感じているんだけど言葉にできないあの感じ」を言葉で表現するか
ら(代弁してくれるから?)エキサイティングなんじゃないかな、とおもいます。
「おのおのがひとしく生まれ持った孤独」という一節にはその醍醐味があって、す
ごくおもしろかった。わたしがわたしであること。それはそれだけでどうしようも
なく孤独で、だからこそ引かれ合う。そんな人間の関係性を、見事に月と地球でた
とえているとおもう。
 夏野さんは1年間、ほどよいペースでたくさんおもしろい詩を読ませてくれまし
た。ちょっと心配なぐらい、バランス感覚が抜群で感心してしまいます。感謝。



 2008-03-18  軽さへのあこがれ  佐々宝砂さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=151410

 全体の分量がこれ以上ないほど最適で舌を巻いてしまいました。表現したいこと
があって、それを書くとき。そのテーマにふさわしい長さや重量というものがある
とおもう。その最適な感覚こそがじつは詩でいちばん大切で、むずかしいことなの
ではと感じて、興味深かった。
 おもわず息をとめてしまうような1連目もまたすごい。とりたてて派手な言葉で
はないのに、鮮烈です。いろいろなものがつまった14行で、くりかえし読みたい
一作だとおもう。



 ■ 詩のジャンル

 ところで、詩には細かいジャンルが名づけられていない。音楽では「プログレ/
メタル/スラッシャー/ドゥーム/フォーク/フォークトロニカ/エレクトロニカ
/パンク/シンフォニック・パンク/ポップス/アリーナ・ポップス/……」とい
った連想ゲームができるほど名称があふれてます。
 「現代詩」と「ポエム」というような大きなジャンルはある。という説はよく言
われることですが、やはり突っこんだ細かいものはなさそう。すぐにでてくるのは
「散文詩」「定型詩」ぐらいでしょうか。
 ラベリングされることによって、いやな気持ちになる、窮屈と感じる。そういう
マイナスが詩にはあまりない。それはいいことのようにおもえる。でも、ほとんど
読み手のわたしとしては、目安が数えるほどしかなく不便です。詩という創作は読
者に不親切である、という欠陥があるとおもう。
 現代詩フォーラムでは、ポイントが目安として機能している。それにも賛否あっ
ていろいろめんどうなことになっています。大変だ。




散文(批評随筆小説等) ショートレビュー・サンデー 3 年末版  Copyright 露崎 2008-12-22 04:32:30
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