ラムネ
夕凪ここあ

わたしたちの夏は
ガラス玉みたいに透き通って
どこまでも不安定に揺らめいて泡してく

炭酸水の中でうまく泳げない
わたしとあなた
きっとまったく別々のままに飽和して
まぶたの裏でまだ小さくこいしてる

あの夏の宿題は
あ、の発音の仕方だったり
てのひらの温度の確かめかただったり
さよならの上手な言い方だったりしたけれど

いつまでも片付けられないまま
からん、と音をたてて
どうでもいい宝物みたいに
まだあだ名さえ忘れられないでいる


自由詩 ラムネ Copyright 夕凪ここあ 2008-12-20 09:35:58
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