Arrow/ぼくら
石田 圭太


メリー、
それは細長い
木々の根元から枝の先までがちょうど、
ひかりだけ流れているようにみえた
夢みたいな夜


ぼくらは産み落とされて
地図だけを持たされていた
しずかに痛みながらも
冒険はとっくに閉ざされていて
どこで生きるべきか、
も知らないから
新しい白紙を求めて


アロー、
そうずっと
浮かれたかっただけさ
あるものにも、ないものにも
平等に、ほら
言葉は届けられてくるから
ぼくらっていう
そんなちいさな空想を
信じてみたくなっただけさ


きれいなままの眼球で
視神経を焼くImageをする
という幸福に気付け
ともすれば、
暗闇に浮かべる孤独のひかり
星のどこで産まれるかって
そんなことばかり考えていたんだ。


どうだろう。見えるかな。ぼくらを表現す
る為の言葉達が。ふぞろいな家々として立
ち並び始めて、いつか町が出来るんだ。伝
えたいものがたくさんあるよ。大切には抱
きしめられずに、ただじっと見詰めている
よ。どれだけ重なり合いたくても、セック
スでは叶わないんだ。ぼくらは優しく生ま
れていないし、それについて悩んだり、涙
を流すこともあるけれど、枠からはみだす
ことだって出来ないし、充分に甘んじてい
るんだよ。いつかこれ以上ない位にぼくら
の町が育ったら、きみにあげる。そこに立
ち並ぶ家々はすべてぼくらだから、出来る
ことはひとつしかないけれど。きっときみ
には意味のないもので、意味の分からない
ものだから、みんな別々に歩いていて、と
ても幸せです。


アロー、
ぼくらは産み落とされて
こころを零しながらあるく
振り返れば、
アロー/ぼくらの
受け止める傘の足りなかった


それはいびつな形をしたもの。
ずっと、とか
はるか、とか
とにかく遠いところから、
ここまで駆けつけてきたもの。
何億ともつかない星々や
よろこびやかなしみを先頭にした
たくさんの。
心臓のように重くのしかかる愛しい、降り
注ぐもの


自由詩 Arrow/ぼくら Copyright 石田 圭太 2008-12-19 10:36:31
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