涙ノ星
服部 剛

ひとしずくの涙を 
顕微鏡で覗けば 
そこは内包された 
ひとつの宇宙であり 

やがて夜も更ける空に 
ひとつ、ふたつ・・・ 
星々は灯り始める 

あれはきっと 
時々寒さに震えながらも 
こらえて地上に立っている 
僕等一人ひとりの物語を映す 
空の鏡だ 

オリオンからシリウスへ 
シリウスからもうひとつの星へ 
冬の大三角形を結ぶ糸が 
一人ひとりの星々を 
無数に結び始める  

やがて冬の大三角形も消え 
白みゆく空に 
大切なひとの顔が 
浮かんで来る 

懐かしそうに 
こちらをみつめる瞳と 
頬に流れ落ちる 
ひとしずくの涙 

 一瞬光り 

そのひとの顔は
夜明けの空に
消えた 








自由詩 涙ノ星 Copyright 服部 剛 2008-12-15 21:20:54縦
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