Don't look at me with your spellbound eyes
佐々宝砂

紺染のシャツの胸元を大きくあけて
頬杖ついてみる
脱げば女に見えますともさ
胸元をこんなに大きく見せるだけでもね
たいして大きな胸じゃないけどね
世の中が男と女でできてるとしたら
私はきっと世の中じゃない
じゃあなんなのかって
あっははは
私はゆっくり生きているので
まだ答えが出ていないのさ
私の左手はなまぬるいグラスを持ち
私の右手は握るべき手を求めて宙に浮く
闇ならたくさん想像をくすぐるだろうに
いまはばかげて明るい
眠らせてください太陽よ
大きくあけた胸元に真昼の陽射し
ふふふこんな真昼に酔ってもかまわない
私はそんな渡世を送ってるさ
私以外の誰かもきっと
明け方まで街は霧に煙っていたのに
ありきたりな風景も楽しげに見えていたのに
ああどうか眠らせてください
私が真昼を眠るには
どうしたってあのひとが必要なのです
あなたじゃないの
そしてあのひとが真夜中を眠るには
どうしたって私が必要なのです


自由詩 Don't look at me with your spellbound eyes Copyright 佐々宝砂 2008-12-11 11:09:22
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