インスタント
FUBAR

薄暗くほこりっぽい店の窓際
そっと外を眺める姿に
ひとすじの涙を見つける

はじまる前に終わっていた過去があふれ
秒針が
左回りを始めた
きっと今なら
部屋の引き出しに異空間への入口がある

ビル・ウィザースの曲の訳と強いひとの条件を問われ
二十世紀のセックスシンボルに
ローレン・バコールとボー・デレクの名をそれぞれ挙げる
サンフランシスコと頭の花には
すかさずスコット・マッケンジーねと笑い
マルタの鷹とキー・ラーゴで目を点にした

はかないペルセウスには子どものようにはしゃぎ
真新しい包帯には子どものように泣き崩れ
細すぎる小指には子どものようにごめんねと口にする

導かれるがままに導かれ
包まれるがままに包まれた
六年以上の月日を経て
変わらない八年は色を覚え
少しずつ埋まってゆく

部屋にその面影はなく
くすりゆびは身軽でも
いまだに先生と呼んでしまうひとの傍ら
たしかに付きまとっている永遠というものが
どうしても舌に絡みつく


自由詩 インスタント Copyright FUBAR 2008-12-11 07:25:53
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